悲素

作者は、帚木蓬生さん
出版は、新潮社です
これではばきぎほうせいとお読みするお医者さんです
若い人は知らないかもしれませんが、和歌山の毒カレー事件が題材です
この頃はサリンとかヒ素など毒物を使った無差別殺人事件がありました

大学の先生が警察から依頼され、被害者を診察しながら事件にかかわっていきます
当時すごく話題なりながら読むと知らなかったことがたくさんあります
事件の10年以上も前からヒ素を使った事件を起こしていたこと
両親さえその犠牲者かもしれないこと
そしてこの危険な毒物がシロアリ駆除に使われる薬物でそういう会社の人は簡単に手に入ること
もともと急性のヒ素中毒は事例が少なく、お医者さんでもヒ素中毒と診断できなかったことが被害を大きくしたのかもしれませんが、それは後からなんとでも言えることです
犯人はそれだから余計ばれるなんて思ってなくてあれほど余裕だったんでしょう
本当にカレーを食べさせたかった人は食べずに多くの人が関係なく犠牲になりました
大学の先生の淡々とした描写が余計に腹立たしさを大きくします
でも犯人の子供たちには同情してしまいます