像の皮膚

作者は、佐藤厚志さん
出版は、新潮社です
珍しいぐらいに良い人が出てこない小説
刺さる小説とはこういう作品を言うのでしょうか

主人公は仙台の書店で契約社員として働く女性
アトピーで小さい頃からそれがもとでいじめられてきた
家庭内でもアトピーのことで父親や兄弟からさげすまれてきた
お話が暗くて暗くてしょうがない
うちの息子もアトピーだったからその辛さはわかるのだけれどさすがにここまでは考えもしなかった
象の皮膚というのはアトピー患者の皮膚のこと
黒ずんでカサカサしているので確かにそう見える
見た目でわかる病気は奇異な目で見られるのが普通
子どもを連れて歩いていてかわいそうにと言わっれたこともある
まあそんなことは置いておきましょうか
皮膚を人目にさらすことを極端に恐れる主人公
夏場に半そでを着なくていい職場を探したのもそんな理由
でも働いた職場も十分に変な上司に同僚、そしておかしなお客さんたち
あの大震災後に仙台で真っ先に開いた書店を襲ったのは理不尽な客たち
作者は仙台の書店で働く人だからこの話は事実でしょう
なんて情けない人たち
まあとにかく人間不信満載の小説
読んで落ち込む小説も珍しい