散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道

作者は、梯久美子さん
出版は、新潮社です
これほど聡明で状況判断ができた人でも命令には逆らわなかった
これこそ軍人の鑑ではあるけれど

クリント・イーストウッドさんの映画でも脚光を浴びた硫黄島
絶対的有利なアメリカ軍に一矢を報いた日本軍
飛行場を持つこの島がアメリカ軍の手に渡れば本土は完全にアメリカ軍の射程圏内
それだからこそこの島に送り込まれた2万人もの兵士たちく
しかし、数か月でこの島の防衛は国の作戦から消えてしまった
追加の兵器もないこの島でアメリカ軍を足止めにした日本軍
その結末は玉砕
この島で指揮を執った栗林中将の伝記です、この本は
アメリカへの留学経験もあり、アメリカの生産力、国力を十分に理解していた彼は間違いなくアメリカには勝てないことを理解していた
それでも軍人である彼は上司の命令には背かなかった
間違いなく帰ってこれないことを理解しての赴任
家族への愛情に満ち溢れた手紙の数々
そして部下たちへの愛情に満ち溢れた行動
この島がアメリカ軍に渡ろうが渡るまいが戦局は既に決定していることも理解していたはず
悲しすぎる最後の突撃
簡単に降伏するという選択肢を微塵もなかったのだけれど