〈つながり〉の戦後史 尺別炭砿閉山とその後のドキュメント

作者は、嶋﨑尚子さん、新藤慶さん、木村至聖さん、笠原良太さん、畑山直子さん
出版は、青弓社です
一つの町があっという間に消えてしまう
日本の復興を支えた石炭産業の町物語

このあたりでも徳山ダムでできる時に旧徳山村の住民は引っ越しを余儀なくされ村が消えました
福島の原発事故の時は放射能汚染のため住む町に住めなくなりました
この自分たちの住む村から出ていかなければならないという喪失感やさびしさ
そんな人たちを調査した記録がこの本です
消えた村は炭鉱で働く人たちのために生まれた村
戦後の復興を支えた鉄鋼業
その鉄鋼業を支えたのが石炭産業
輸入しなくても国内で賄えるのが大きな利点
北海道に九州、それに東北などに大小さまざまな炭鉱が存在していました
しかしエネルギー政策の転換に伴い石炭から石油へ
露天掘りでなく地中深く掘らなければならない日本の炭鉱は閉山されていきます
そして石炭産業と共に栄えた町はさびれていきます
夕張など大資本の炭鉱町はそれでも残りました
でも小さな炭鉱と共に歩んだ町は炭鉱の閉山と共に姿を消してしまいました
住む人のほとんどが炭鉱で働く人たち
職場の階層がそのまま地域の階層
今なら息が詰まると言われでしょうが、この頃の日本はまだ近所付き合いが普通だった時代
都会の大会社さんでも社宅を設けて社員を住まわせていました
古臭いかもしれませんがそれで培われた忠誠心
それが日本の高度経済成長を支えたのは間違いない事実
この炭鉱町の人たちのその後の繋がりなど見るとこれが底力などと思ったりもします