幻の村ー哀史・満蒙開拓

作者は、手塚孝典さん
出版は、早稲田大学出版部です
本当、歴史っていうのはちゃんと勉強しないと大きな勘違いをしてしまいます
皆大きな夢を抱いて自ら進んで行ったのだと思っていました

よく考えればハワイやブラジルへの移民にしたってやむにやまれず旅立った人が多数いたんですよね
土地もなく小作として働いて賃金を貰うだけ
そこに広大な大地と夢のようなお話をされれば行ってやろうかと思う人もいたはず
しかし満州開拓団は日本の国策だから村ごとの割り当て世帯数があり、それを達成すると国から莫大な補助金が村に落とされる
これは今でも続く原発や基地の建設と同じ手法
産業もなく税収もわずかな市町村にこれを行えば、インフラが整備される上に雇用の促進という大義名分もあり市町村はイチコロ
全国的には長野県から開拓団が全国一だそうですが、それは分村という政策
貧しい村から何世帯かを満州に送り出して満州に長野の村の分村を作るというもの
満州に行った人には満州で土地と家屋が支給される
出て行った村では出て行った人たちの土地を分け合い、一家の持ち分を多くする
誰もが得する素晴らしい政策
しかし満州で支給された土地は中国人から二束三文の金で奪ったもの
開拓団といいながら既に耕作された土地が与えられたことで疑問を持った人たちもいたようだけれど自分に都合のいいことをとやかく言う人はいない
ところが敗戦とともに日本に引き上げると故郷には自分たちの住むべき場所は存在しない
その上、満州でいい思いをしたのだから何を今さらなどという偏見の目
こんな理不尽な話はない
こういうことを国をあげてやってきたということはちゃんと教えないといけない
また同じ失敗を繰り返しますよ